(引用元:侠の空模様 蒼天航路 キャラクター考 法正④)
三国志で最も有名な軍師といえば、蜀の諸葛亮孔明でしょう。時点で魏の司馬懿仲達、あるいは呉の周瑜公瑾でしょうか。
実際に三国志を繰り返し読むと、思った以上に孔明は勝った戦が少ないことに気が付きます。
僕個人の意見としては「孔明は政治家として有能・軍師としては他に上がいる」ってところです。軍略はともかく用兵が孔明は良くない。
で、蜀の中で孔明よりも上の軍師といえば法正孝直じゃないかって思うのです。
蜀の法正考直とは
法 正(ほう せい、176年 – 220年)は、中国後漢末期の参謀・政治家。劉備に仕えて活躍した謀臣。
字は孝直。司隷扶風郡郿県(陝西省眉県)の人。
(引用元:法正 – Wikipedia)
短ッ!
簡単に説明すると、劉備に蜀を盗らせた張本人(もう一人いるけど)。
その後は軍師として大活躍。曹操を絶体絶命の危機まで追い込んだ数少ない軍師です。
が、大活躍する軍師の例に漏れず早逝。44歳の若さで亡くなりました。
正史三国志の著者と言われる陳寿の人物評では
「法正は判断力に優れ、並外れた計略の所有者であった。しかし、徳性について賞賛されることはなかった。魏臣に当てはめれば程昱・郭嘉に比類するだろうか」
(引用元:法正 – Wikipedia)
と評されています。郭嘉と比類ですってよ!
名軍師の条件
あくまで僕の個人的意見ですが、三国志で名軍師と呼ばれる人は、なぜか性格が悪いエピソードが多いように見えます。具体的には郭嘉・賈ク・司馬懿・陸遜など(個人の意見です)。
詳しくは省略しますが、概ね陳寿か裴松之に「徳がない」とか酷い言われ方をしています。
今並べた軍師たちは皆、知略に優れた名軍師です。陳寿はここに比類すると評した訳ですね。司馬懿や陸遜は僕が勝手に足しましたが。
極端な話、軍師は相手が嫌がることを考えるのが仕事みたいなところがあるんで、性格が悪いってのは結構重要なエッセンスだと思います。
法正の性悪エピソード
有名な話です。
劉備が蜀を取った後、法正は功績を評価され太守として重用され、中央の政治にも介入しだします。権力者になった訳ですね。
で、権力を手にした途端に恨みを持っていた人を全員処刑しました。権力を手にした途端に乱用。性悪ってレベルじゃないですね。
当然こんなことをしたら内から不満の声が上がります。しかし、劉備に蜀を取らせたという功績はそれすらも帳消しにしてしまうほど大きかったのです。
定軍山の戦い
劉備の入蜀の際も有能エピソードはあるんですが、やはり一番語るべきは定軍山の戦いでしょう。
蜀、というか劉備軍は、基本的に負け戦が多いです。長坂の戦いやら徐州での呂布やら。敗走の中でも個々の武将が活躍するエピソードは多いですが。
定軍山の戦いは、勇猛な武将と法正の知略が見事に噛み合った勝利を蜀にもたらしました。
漢中を魏に取られていた
漢中は三国志の中でもかなり軍事的に重要な位置で、蜀の玄関みたいなところです。
劉備が蜀をちんたら攻めている間に、魏に奪われていました。劉備側からしたら、家の目の前に敵の本陣が敷かれている状態。いつ攻め込まれてもおかしくないです。
魏軍の総司令は、猛将として有名な夏侯淵です。その部下には有能な張コウや徐晃が控えています。
夏侯淵は「素早い進軍」と「奇襲」を得意とした武将で、特に決断の速さを重視する癖がありました。法正はその癖を見抜いた策を用いて夏侯淵を破ります。詳細は省きますが
- 夏侯淵の奇襲を誘導する
- 少数で奇襲にきた夏侯淵を本体から引き離す
- 退路を断つ
- 黄忠を背後からぶつけ、討ち取る
見事な策で「向かうところ敵なし」称された夏侯淵を討ち取ったのです。
その後、曹操が直々に漢中に攻め入ったりもするのですが、法正の知略や趙雲の活躍などで撤退させてます。
総括
こんな感じで、法正が指揮をとった戦は殆ど勝ち越しております。
しかし名軍師は短命なのか、漢中に攻め入った曹操を追い払って間もなく、法正は病死しています。享年44歳。やはり早すぎる死です。
法正の死はこの後も影響を与えます。蜀の歴史的な大敗である夷陵の戦いにおいて、かの諸葛亮も
「法正どのが生きていれば、陛下(劉備)の東征を止められたはずだ。仮に止められなくとも、今回のような大敗はしなかっただろう」
(引用元:法正 – Wikipedia)
と述べています。それほどまでに素晴らしい智謀の持ち主でした。
もっと長生きしてくれていれば、僕の大好きな魏延と一緒に北伐で大活躍していたんだろうなぁ…って思います。
わりとマイナーめな軍師ではありますが、実はかなりの有能軍師です。てか、僕の中では蜀最強の軍師です。龐統と徐庶も好きだけど。
三国志はこんな感じで、一人ひとりの武将にとても面白いエピソードが山盛りです。一生楽しめます。
未読の方は、お時間があれば三国志沼にハマってみるのも一興です。てか読みましょう。